とある大学生の勉強メモ

Python, C#, UWP, WPF, 心理実験関連の開発備忘録

米朝会談とそこから分かる今後のキーワード(自分用)

 多くの関係者の予想通り、ハノイでの米朝会談は合意至らずという形で決着しました。そもそも首脳同士の会談は事前に両国の事務レベルで協議した後の署名のみというパフォーマンスな成分が多分に含まれています。今回焦点となったのカードは北朝鮮が非核化、アメリカが経済制裁です。

 そもそも近代の歴史を振り返ると北朝鮮が、何もできない事で有名な国連の勧告を無視して核武装した事から始まります。あの時国として力がないどころかテロ支援国家認定までされてしまった北朝鮮が、唯一国際社会で戦う為には核武装が必要事項だったと思います。結果として良い意味でも悪い意味でも世界から注目を受け、アメリカを会談まで呼んだわけですから、あの核武装は良い選択だったと言わざるを得ません。

 トランプも次の選挙で勝つ為にあらゆるパフォーマンスをする必要があります。それは行動力があるという印象を選挙権を持つ人々に伝える為です。キムちゃんもそれは同じ事です。要するに政治家というのは様々なパフォーマンスをして国民から盲目的な信用を得る事を生業としているのですね。平成以降、信用というのは非常にキーワードになると思っていて何を信用というのかという事は科学的にも解き明かす必要があると考えています。

 度々言っている事ですが、信じるという成分は欺瞞0から安心1のグラデーションで表されるものだと思っていて、しかし0か1のどちらかに寄っているという事は人間は観測できても、明確な数値を出す事がしづらい代物です。しかも0というのは非常に観測しづらいものです。1は疑いすら想起されない状態ですが、0は信じるが想起されないものですのでトートロジーとなってしまう。

 この面倒な値のせいで確信度なんていう定量化できないし再現性のない代物を扱ってバーニングしてしまうわけなんですが、ちょっと待てよとひらめきました。なんか信頼区間っていうワードがあったな、と。どうにか統計的な処理にこの不安定な信用を落として科学の世界に引っ張って来れないかと思いました。っていう事で今年は信じる成分をどうにかして科学に落とし込んでみようと思います。これが出来たら本物性という事を科学に落とし込める事に繋がりますし、マジョリティの思想なども整理できそうです。

 というわけでしばしお待ちを!

 

 

国際関係論の談話

目次

 

序論

 情報科学の卒論執筆中ですが、最近のHuawei関連や日韓、日露関係に関して技術的なアプローチも踏まえて述べます。述べる前に僕のスタンスと前提知識を幾何か紹介しておきます。

 基本Abemaニュースと幾つかのニュースサイトを情報源としています。国際関係論に関しては武力均衡や永世中立、非武装理論などを勉強済みです。日米安保条約自衛隊憲法第九条の注目点や改正理由なども押さえています。政治の左右はニュートラルを常に意識していますが、完全なニュートラルは難しく、どちらかといえば左に寄っているとは思います。

 歴史観としては日露戦争や太平洋戦争などの知識は敬愛してやまない司馬遼太郎寄りな司馬史観ですが、多くの理系学生よりも知見が深い自信があります。

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 そういう人間が国際論を語るのなんてちょっと面白いでしょう? 

 

Huaweiと国際関係

 Huaweiは中国のシリコンバレーと呼ばれる深圳に本社のある1987年設立の会社です。近年スマホ生産数ではAppleを抜き去り、また通信の開発でも大手となっています。最近Huawei最高財務責任者(CFO)かつ創業者の娘である孟晩舟バンクーバーで逮捕されました。この逮捕はFBIからの要請です。逮捕理由はほとんどでっち上げですが、一応「米国のイランへの制裁にHuaweiが違反した疑いがある」というのがオフィシャルで出ています。

 逮捕背景としては5Gの通信規格の開発競争があります。要するにアメリカファーストの崩壊です。今までは軍事・経済・政治とあらゆる面でアメリカが世界最強でした。ところが中国は独自にAmazonの代わりにアリババを、Twitterの代わりにweiboを、Googleの代わりにバイドゥを作りました。それらの企業を国内だけで回す事に成功し、次に通信の世界で遂に世界一の技術力を得た訳です。通信のプラットフォームを取るという事は、物流で言う所の個々のトラックと高速道路を中国が握るという事です。

 個々のトラックに電子的な仕掛けをして情報を取る事も勿論できますし、高速道路の交通情報は全てHuaweiが持ちます。そして中国の法律では企業が国家の要請に対して情報開示する義務があります。

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 アメリカとして、また世界の日本を含めた多くの諸国がこれを看過できるはずもなく、Huaweiを追い払う動きがアメリカ中心に活発になっています。

 基本として技術と政治は切り離して考えるべきです。が、もう今の情報技術は軍事と切り離せない関係です。軍事だけでなく、経済も情報技術とは切り離せない関係です。情報を最初に得た者がウォール街の勝者となる時代になりました。

 結論企業と国が密接に関わっている中国が5Gを作らなくても、どこぞの国が5Gを開発するでしょう。技術の発達はもはや止められる事はないのです。科学者としては技術の発展を政治や軍事が阻害するのか、という立場を取っても良いような気がしますが、しかしここで僕は5Gが果たして人をWell-beingにするのかという疑問があります。

 それは5Gがプラットフォームとして定着するまでと定着した後の二つの意味を含意しています。定着するまでに逮捕や戦争などの哀しみが増える事を僕は善としない立場です。そしてプラットフォームが出来上がった後に例えば3D情報がラグなく送る事が出来て、リアルタイムなテレイグジスタンスが実現すれば面白いと思っています。同時接続SAOも夢ではないかもしれない。となれば通信規格の向上は有意味です。

 中国は5Gの開発で莫大な予算をつぎ込んでいました。その結果だけ公開しろというのも土台無理な話です。とはいえ各国で開発するというのも無理があります。Huaweiの良心に従うというのも厳しい。ただ5Gはやはり欲しい技術の一つではある。

 ──どうやら簡単な答えは見つからなさそうですね。

 

日韓関係

 哨戒機レーダー、徴用工、慰安婦など色々とごたごたしていますが、総じて日韓関係は悪くなりました(笑)。ただ個人レベルでの仲は良くなっていると思っていて喧嘩をしているのは政府同士です。とはいえ過去の因縁をぐだぐだ言い続けるよりも未来志向の話し合いというのは昨今のイデオロギーといってもよく、ミスはしたけど次頑張ろうねって言いあうのが善い事だという認識が強いと思います。

 日韓関係ですが端的に言うと韓国の民主主義が安定すれば解決すると思います。誤解を避ける為に色々と言葉を継ぎ足しますが、韓国の日本に対するヘイトというのは歴史的なものがあります。韓国は戦後日本の仮想敵として経済発展をし、そして今では発展国となっています。韓国に民主主義が取り入れられてからは日本にヘイトを向ける事で幾つかの票を獲得するムーブに政治家はなりました(韓国政府は別に対日外交だけを選挙で言っている訳ではありません、念のため)。

 日本側も靖国参拝や領土問題などで度々衝突の種を生んでいきました。靖国は首相としてのステイタスを捨てきれなかった安倍ちゃんがやっちゃった件です。千鳥ヶ淵だけでは歴代の首相を越えられないと感じた結果でした。それが韓国のヘイトを高める事に繋がりました。次いで慰安婦を問題化する事により、韓国政府は信頼を得ようとしていました(慰安婦は世界中全ての軍隊を行っています。詳細はジェンダー論とかでやりますね)。

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 民主主義では多くの政治家が選挙が終われば次の選挙の事を考えます。政治家は常に国民の人気を取る事に必死なわけです。国民が期待しているであろう政策を忖度し、実行する結果の一つとして日本へのヘイトがあるに過ぎないわけです。しかし民主主義の中で誰かが安定して票を入れてもらえるようになれば、次のステップとして政治を考えるようになるわけです。人間前提条件が安定しなければ次のことを考える事はできません。当選が安定する事により次のことを考えられるようになるわけです(時間の経過という理由も当然あるでしょう)。

 何度も言うようにいずれ日韓関係はよくなります。それは良くなった方が国家戦略的に都合が良いからです。そして喧嘩をしていても意味がない事を国民が知っているからです。その為には韓国政府が長続きする大統領を生み出す事が最も大きなきっかけになると踏んでいるのです。加えて日本ヘイト世代の死亡も重要だとは思います。

 歴史観清算した成功例としてはドイツが有名ですが、アジアがヨーロッパ諸国に倣う事を強く願います。ていうか世論のレベルではそこまで喧嘩していないので、解決も本当に時間の問題だと思います。いずれ絶対清算していくと思います。利害関係としては悪くないですから。そのきっかけが民主主義の歴史とトップの安定だと思うだけです。

 ただ日韓の若者でもっと政治の話題を避けるのではなく、積極的にディスカッションしていく必要があると思いますね。

 

日露関係

 おそらく2019年一番変化が起こるであろう関係だと思います。古くは僕も1,2回生でロシア語を学びその結果ハラショーとスパシーバぐらいしかろくに覚えていないという経歴を持ちます。ロシアという国の風習や歴史もそれなりに理解はしているつもりです。

 ロシアっていうのは所謂戦勝国だけど負け組的なポジションで、国際権力を軍事力に頼っている節が大きい国です。宇宙を制した者が勝つと予想したわけですが、宇宙開発よりも情報技術開発の方が実は大事で、その点を国として見落としたが故に経済的に厳しい状況に追い込まれています。次に戦争を起こすきっかけが最もありそうな国だと僕は見ています。やはり経済的に追い込まれた結果、支配される側になる事を看過できなくなった時に、軍事力を以て戦争を起こすというパターンは古くは日本もやっていたわけですから。誇りは国を殺すとは司馬先生もよくいったものです。大東亜戦争は幕末攘夷の思想から連綿と続く国に対する誇大妄想と自負心が生んだ結果とまで司馬先生は言っています。

 従ってロシアと友好条約は次の大戦を想定すると非常に重要なものです。その手札として北方領土問題が取り上げられているわけですね。領土問題に関しては国際世論が生まれる前に取った者勝ちという節があります。そして住み着いて一世代を築いてしまえば、彼らの故郷を奪うという事は人権問題に繋がるわけです。住み着いた人達がいるという点では尖閣諸島竹島とは一線を画するという事が判ります。

 加えて軍事的な要因がどうしてもあります。要するに日米安保条約ですね。北方領土に作られるのは沖縄にいっぱい作られるのとは訳が違うと言いたい訳です。マッハの世界に空戦は突入しましたが、それでも近くにあるのは脅威なわけです。加えてミサイルの有効射程圏内など軍事戦略上まだまだ物理的距離は考えられる項目になるわけです。とはいえ。とはいえですよ。マッハ世界なので、そこまで物理的距離は重要ではなく、どちらかというと米国の武装が身近にあると感じる精神的距離の圧迫の方が重要でしょう。それは選挙に直結するわけですから。

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 プーチン大統領としてもその譲歩を許すわけにはいかないので、北方領土の主権云々を説いているわけです。安倍ちゃんもそれを理解しているので、北方領土に関しては特別扱いするように考えており、トランプちゃんにもその事を言っています。そもそも日米安保条約は新たに基地を作る場合は両国の合意が必要なので、北方領土軍拡問題は作らないという形でなくなると思っています。

 今年中に友好条約が結ばれた熱い展開ですよね。ビザとか永住権が取りやすくなったりしないかしら、とか思ってます。よく判らんけど。

 

最後に

卒論執筆中でしたが、どうしてもまとめたいと思ってまとめてしまいました。

まだまだまとめきれていないのですが、これ以上は卒論提出後にしようと思います。

それではお疲れ様でした。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

Pythonで大きな文字をランダムに出力する方法

目次

前置き

 卒業研究をするにあたってPythonで0から9までの数字をランダムに表示させたかったので、ひとまずGUIを作る事にしました。しかしオブジェクト指向PyQtは書かれており、そもそも手続き的な実験には不向きだと感じました。PyQtの記事はまた出しますが、ユーザーからのインプットがなければオブジェクト指向は動かないので、更新コマンドだけでは中々立ち行かない事が多いと思います。

 データはプログラミングして自動で取りたいけど、大きな数字をどう表示しようか迷いました。GUIは解像度を下げるなどしても小さくて見づらいです。なぜかhtmlのh1以上の大きさにできなかった(僕が探し切れていないとは思いますが。結構頑張ったんだけどなぁ……)。

 という事で大きな数字をランダムに次々と表示したいよ!というオーダーをかなえる為に以下の方法を取りました。

0~9の画像を出力する(笑)

 ディスプレイの定位置に0~9の数字を表示させればもういいんじゃね、と思いその方向でコーディングをしました。以下に全て載せています。

github.com

importするライブラリ環境を整える

 画像出力はcv2を用いました。理由は簡単に画像を消すコマンドが用意されているからです。MatplotlibやPILを利用されている方も多かったですが、結局今回のケースだとcv2が楽でした。

 まず

pip install opencv-python

 AnacondaのCMDから上記コマンドでcv2を入れます。

 pip install cv2ではないので注意。

 表示させるコードは以下の通り。これで0から9までの数字の中からランダムに予め用意した写真を表示してくれます。僕の場合は本コードと同じフォルダにpictureフォルダを用意して、そこに写真データを置きました。そこから呼び出す感じです。

number = random.randint(0,9)

im = cv2.imread("picture/%d.jpg"%number,0)

  cv2.imshow("%d"%number,im)
  cv2.waitKey(1)
  cv2.moveWindow("%d"%number, x, y)

 cv2.waitKey(n)は実は必要なコードで、n[ms]経ってキーボード入力がなければ表示するという意味です。中身を0にすると、キーボードを押さない限り一生何も表示されません。

  cv2.moveWindow("%d"%number, x, y)でディスプレイの好きな所に表示させましょう。

 そしてcv2.destroyAllwindows()によって全ての画像ファイルを消す事が出来ます。


次にペイントででかでかと1のピクチャを作ります。表示させる写真を用意

 名前はプログラムで簡単に呼び出せるようにシンプルにした方が良いと思います。保存はjpgでしました。cv2では他の形式でもいけるとは思うのですが、出来ないと面倒なので前例に従いました。

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結び

 今回はGUIを使わずに0~9の画像を出力させる方法を考えました。これから単純実験をする時に画像を使うという手法は結構良い気がします。

 もちろんGUIを使ったやり方も必要になってきますので、オブジェクト指向の勉強もしていかないとですね。

 それではお疲れ様です。

openSMILEで得た音響特徴量をwekaでSVMする手順

 目次

序論

 卒業論文を制作するにあたって結構苦労したので、ブログに残しておきます。

 全体の流れは、

  1. openSMILEで音ファイルから音響特徴量をarff形式にして抽出。
  2. ラベリング後にwekaによってサポートベクター分類。

 音響特徴量やopenSMILEの構造に関しては,こちら

https://amakazeryu.hatenablog.com/entry/2019/06/22/190002 

 

 openSMILEやwekaは海外のソフトなので日本語ページが不足しており、僕もわりかし苦労しました。単に機械学習するだけなら、wekaのGUIが優秀なのですぐにできるのですが、データの取り扱いやパラメータ設定でちんぷんかんぷんだったので、その記録を残します。

環境

  • windows10 64bit
  • GPU:Geforce1080Ti
  • CPU:i7 7700k
  • メモリ:16G

openSMILEの手順

インストール手順

 openSMILEはINTERSPEECH2009~2013の論文に由来する音響特徴量抽出の為のソフトウェアです。音響系では割と色々な論文に使われている。

https://www.audeering.com/opensmile/

 このページからzipファイル形式で落とせば良いと思います。gzファイルの場合はcygwinを入れないとwindowsでは開けません。他にも有料アプリがあるけど、Linux系に出来てwinに出来ない事は大抵cygwinを入れたらよいかと思います。

 展開してopensmile-2.3.0\bin\Win32までいってGUIを起動したんですが、あんまし上手く動いてくれませんでした(涙)。コアダンプが起こっていてエラーメッセージがちゃんと出てくれないので、他の方法を取る事に。

 

特徴量抽出手順

 英語マニュアル本を読むと、

SMILExtract_Release -C config/IS10_paraling.conf -I input.wav -O output.arff

 というコマンドによって取り出せるとマニュアルに書いてあったので、実行すると実際にarff形式で取り出せました。「input」の所に対象のファイル名を入れると「output」の所に「input」から抽出した音響特徴量が上書きされます。

 仮にarff形式のファイルがなければ、output.arffが生成されます。

 configファイルはどの方法でどの特徴量を抽出するかを決める所で、configフォルダに色々あります。IS10はinterspeech2010 paralinguistic challengeに由来する設定です。目的に合わせて選べば善いかと思います。

 

クラスタリング

-instname input -class 0

 というコマンドを末尾に加えることで、新しい要素をarff形式に入れる事ができます。

 100個ぐらいの音声データから音響特徴量を抽出したかったので、今回はバッチファイルを作りました。下は一例。

.bat  
  cd C:\Program Files\opensmile-2.3.0\bin\Win32
  set i=1
  :loop
   
  rem class label 0 means the user is puzzled, 1 means normal condition.
  SMILExtract_Release -C config/IS10_paraling.conf -I input_%i%.wav -O output_IS10.arff -instname input_%i% -class 0
   
  rem ↓↓IS09 config file ver
  :SMILExtract_Release -C config/IS09_emotion.conf -I input_%i%.wav -O output_IS10.arff -instname input_%i% -class 0
   
  set /a i+=1
  if %i% leq 100 goto loop


 SMILExtract_Releaseと同じフォルダにconfigフォルダとinput.wavを置きました。input.wavは取る時にナンバリングしておいたので、iのfor文を回す事によって一気にやってくれます。ちなCMDでやったので、「rem」や「:」とかはコメントアウトの部分です。パワーシェルを使ってもよいかと。

 classは後で機械学習する際の教師ラベルです。

 ひとまず特徴量抽出はこれでおしまい。

 

wekaでSVM

 さてwekaでSVMをしましょう。openSMILEではGUIが上手く動いてくれなかったので苦労しましたが、wekaはグラフまで一瞬で書いてくれる優れものです。下のリンクからダウンロードして起動しましょう。

https://www.cs.waikato.ac.nz/ml/weka/downloading.html

  飛べない鳥weka(ニュージランドクイナ)が可愛い。ExplorerからGUIを開きましょう。Open fileから抽出したarff形式を読み込みます。

 arff形式はcsvの進化系みたいなデータセットです。wekaに元々あるarff形式のデータを一例に示します。

@relation weather.symbolic

@attribute outlook {sunny, overcast, rainy}
@attribute temperature {hot, mild, cool}
@attribute humidity {high, normal}
@attribute windy {TRUE, FALSE}
@attribute play {yes, no}

@data
sunny,hot,high,FALSE,no
sunny,hot,high,TRUE,no
overcast,hot,high,FALSE,yes
rainy,mild,high,FALSE,yes
rainy,cool,normal,FALSE,yes
rainy,cool,normal,TRUE,no
overcast,cool,normal,TRUE,yes
sunny,mild,high,FALSE,no
sunny,cool,normal,FALSE,yes
rainy,mild,normal,FALSE,yes
sunny,mild,normal,TRUE,yes
overcast,mild,high,TRUE,yes
overcast,hot,normal,FALSE,yes
rainy,mild,high,TRUE,no

  最初にデータの種類を

@ 名前 属性

 という風に書いて、@data以降に実際のデータが入ります。arff形式同士のファイルをマージする方法は判らないんですが、データを付け足すのが容易です。openSMILEならば入れる先のdataset.arffに対して次のようにコマンドを打てば、入れる事ができます。

SMILExtract_Release -C config/IS10_paraling.conf -I input.wav -O dataset.arff  

 後からデータを追加するのが便利で助かりますね。wekaでは一つのarffファイルしか開けないので、データはすべて一つのarffファイルにまとめるのが良いと思います。

 

 次に上のタブからclssify(分類)を選び、早速SMO(wekaでサポートベクター分類)をワンクリックでしようと思いましたが、なぜか押せない。SMOregは押せるんだけど。

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wekaで機械学習

 開いたarffファイルのclassラベルが良くなかったようです。arff形式のファイルをコードライティング用のソフトで起動し、

@attribute class numeric → @attribute class {0,1}

 にしてもう一度開くと出来るようになりました。numericはarff形式で実数を入れる事を意味するのでクラスタリングの意味合いを持たないようです。{0,1}の所は例えば天気なら{晴れ,雨,くもり}とかでも良いです。

 Chooseの横をクリックするとカーネルや誤差範囲、ランダムシードなどが設定できます。カーネルカーネルトリックの為に使うもので標準は多項式カーネルが用いられているようです。

 後はStart押すだけです。

 設定できる様々なパラメータに関してはまた後日解説したいと思います。お疲れ様でした。

 質問を頂いたので,その時の説明パワポリンク置いておきます.

drive.google.com

語彙辞典

 ほぼ自分用に言葉の整理をしておこうと思って書きます。普段何気なく使っている社会とか皆っていう言葉に違和感を覚えたのは中学生ぐらいです。「社会で通用しないぞ」なんて台詞、未だに訳分からず使っている「大人」がいますからね。

 使う言葉・概念を咀嚼した上で使うと言葉に重みが出ると思います。って事で割とお勧めなエントリになりそう。とりあえず分かりやすさメインでいきます。

 

定義したい言葉

定義内容

(コメント)

でいきます。

 

 

哲学

知を好きになること

(これが哲学ではない、って事を言うのは誰にもできない。自分が愛しているならそれが哲学なんです。)

 

社会

ある単位で差異が示される集合・領域

(解説記事はまたリンク貼っときます。ポイントは家庭とか友情とかとは区別しようって所ですかね。通用しないのは社会じゃなくてあなたでしょう?は是非押さえておきたい。)

 

世界

考えの及ぶ領域

 

信じる

欺瞞と安心のグラデーションを表す。

(安心とは疑いの意識する事すらない状態。信じるといった瞬間信じていない事になる。)

 

愛する

信じる事。時間をかけて信じる事を愛するという。そして多くの人が一般化しようという努力をしているが,いまだ一般性を獲得していないふわふわした単語.

(悪くないでしょう?哲学の相対性理論だ)

 

恋する

論理を抜きにして錯覚する事

 

純度

本心と発言・行動の比率。発言内容/本心.

(僕の造語です)

 

本物

純度と信用度が高いもの。閾値はものによる。

そもそも純度と信用はトレードオフの関係にあるが、その二変数の関数の極値閾値以上ならば本物になる。

(俺ガイルにインスピを受けたが、人類学とかやるとわかってくる。)

 

本質

ある対象の本質と材料が揃えば対象を作る事が出来る

(作れるようになるっていう点がポイント)

 

存在

意味領域に表象できること。意味がある事。

存在と時間とか読んでみると)

 

意味

対象が現象する仕方のこと。観測し得る。4=1+3で1+3は4の意味。文脈に依って2+2にも変化し得る。「世界の為に」っていう台詞に意味はない。なぜなら世界に意味を付与できないから。

マルクス・ガブリエルとかハイデガーとか読めば多分理解可能)

 

意義

辞書的であり普遍的な記号。ある対象の意義とはある対象を普遍的に説明できる記号である。

(お金は資本主義に於いて重要な価値指標ですね。マジョリティが疑いなく認めるものが意義です。意味は文脈依存なので、絶対的ではないという点に注意。ロシア語などでは明確に意味と意義を使い分けます。)

 

資本主義

意義に価値を置いたイデオロギー

(名誉、金そういったものに価値があり承認欲求が満たされる空間では、無意味な闘争や権力の奪い合いが生じる。半面競争が技術力の発展を生み出すのは言うまでもない。)

 

民主主義

属する一人の市民の主張できる権利を属する市民数の分母分の一にするというイデオロギー

(等しく一票というのはそういう事である。そして主張・思考・判断能力が平等でない以上、権利を平等にすると主張の平等性が崩れる。平等は平等でないという所以。)

 

科学

現象を再現させる手法

(再現性のないものを科学とは呼ばない。)

 

VR

人工現実。人に錯覚させる技術。

(誤解が多くてしんどいその一)

 

専門AI

人間にはできない処理を機械的に行ってくれるもの

(誤解が多くてしんどいその二)

 

AGI

人間みたいな機械

(誤解が多くてしんどいその三)

 

芸術

自分を表現すること

 

学術

法則を見つける事

 

リーダーシップ

人を巻き込む能力

 

インベンション

ないものを作ること.既存をつくること.

 

イノベーション 

既存のものを組み合わせること

 

カリスマ

言語化できないけどその人の為に自分を使いたいと思える不可視の能力

 

好き

もう一回やりたいと思えること

(対象を再度しようとするとドーパミンが分泌されること。誰かと一緒にやりたい事がいくつもあるなら、その人を好きなんて言う。)

 

良い(善い)

対象を継続させる為の概念

(ある事を継続させるために良いっていう概念で集団や自分をコントロールするんです。ハーモニーとか見たらミヤハが言ってくれてる。)

 

良い人

良いとは常に主観.主観から見て同じ価値観の人

(対義語 悪い人:主観と異なる価値観の人)

 

正しい

論理の枠に常に収まっているものでありTrue

(論理以外で正しいという事は無い事に注意)

 

情動

生体状態

 

感情

情動の予想と情動の差分。予測誤差。

 

生きるとは

生きる意味を探し続ける事

 

幸福感

他人との差分 過去の自分との差分

(感です。あくまで幸福と感じられるのは差分です。自己実現までいっても同じ事して慣れちゃったら幸福感を感じないです)

 

幸福

変わり続ける事とその変化を自己認識できる事

(安定の生活も不安定な過去があるから判るんです。そして普通に働いてお金を稼いで結婚しても全然いいんです。変わり続ける事の時間割合に決まりはないのですから。自己認識なので結局はパースペクティブとも言える。)

 

 

お疲れ様でした。良かったでしょう?

自分で定義する際の参考にしてください。

随時更新します!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年の振り返り

 色々な分野へ色々な深さで周遊する事が趣味なんですが、そんな僕が今年注目したテクノロジーや価値観をつらつら書いて2018年を締めようと思います。

先に要約

  • 音関連のセンシング技術が発達
  • モチベーションが高い人を能力が高い人という
  • あとはおまけ

テクノロジー関連

 ひとまず僕を驚かせたのはGoogleとNTTが作った人の声を個別に機械認識できるようになった事ですね。カクテルパーティ効果と呼ばれる人間の能力を機械でも再現できるようになった事は、センサー能力の向上という点で非常に大きいです。

 AI技術でデータ収集が重要な点ですので、データが取りやすくなったというのは、またテクノロジー発展の加速度を上げた事を意味します。ソフトを公開してくれたらなぁ、という風に思います。オープンイノベーションの風潮を高めて欲しいですね。

グーグル、AIで「群衆の中から特定の声を抽出する技術」を開発 - ZDNet Japan

 

 自分がこの一年音ばかりサーベイしていたので、音関連ばかりで申し訳ないのですが、Empathの感情音認識も面白かったです。まだまだ精度は良くないけど、先のセンシング技術向上でこちらも直に完成しそうですね。

 ハード面ではボストンダイナミクスのロボットがパルクールしていたのが面白かったですね。後は可愛いロボット作って欲しいな。本物の人間みたいな人形ってあるけど、動くロボットはまだ見たことがない気がする。アンドロイドだけど、石黒先生のロボット正直いって気持ち悪かったよ。もっときゃわいいの作ってくれ。

 通信もめちゃくちゃ良くなりましたよね。PUBGみたいな100人同時接続でゲームするっていうのも全然当たり前になりました。これも通信技術の発達のお陰です。感謝します。

 あとTGSとかでも思ったんですがVR・AR技術も普及が進んでいるなあと。その言葉を知らない若者がいないぐらいです。スマホゲームもどんどんAR化してます。まあVRだと解像度とフレームレートの壁がOculusでも突破できないみたいなので、とりあえずARが先ですかね。網膜投影とか他の技術発展でVRもいずれ波が来ると思います。

 GPU1080Tiの性能もさることながら、2080Tiも出ました。機械学習が誰でも手軽にできるような時代がやってきてます。Youtuberでさえやってます。もうそんな時期なのかぁ、と思っちゃいますね。もはや機械学習を回しただけでは研究とは呼べないですね。

 DeepLearngを含めた機械学習関連の勉強をしました。AI学会にも行ったので。勉強すればするほど勉強しないといけない事が増える感じです。DeepLearngの凄い点は特徴量を自動で見つけてくれるという事です。その為のパラメータは人間がつけてます。ただこれもDeepLearngさせようっていう研究をしているんだとか。もう訳分からん。

思想・価値観関連

 この一年で刺激を受けた価値観としては落合陽一先生のヴィジョンかなと思います。特にルネサンス以降の人間の自由意志が崩壊し新たに人間を再定義する時代の夜明けという文脈は共感するものがありました。前田社長の可処分時間→可処分精神への移り変わりやホリエモンのモチベーション格差などとも類似性が見られます。

 簡単に言うとモチベーションがあるやつにはどんどんモチベある人達が集まってきて、すごく大きな事を成し遂げられる。当然そういう人達の方が社会的に認められて地位を獲得する。まあそれがWell-beingなのかという事は話が別ですが。ともかくモチベがあれば基本なんでもできちゃう世の中になってきているので、今度はモチベがない奴をどうするかという話になるわけです。

 人間の能力は意志力で決まるという事は高校生ぐらいから僕は受験勉強を通じて体感的に、哲学的思考から理論的にも知っていました。この事実に何か大きな事を成し遂げたい、社会的に認められたいと思うならば、早く気付いて欲しいとは思います。別に僕は田舎で畑耕して作業終わりに旨い水と飯が食えるならいいじゃん派なんですけどねぇ(笑)。

 金がある=勝ち組っていう資本主義の構図はなくなるとまでは言いませんが、少しずつ崩れていくとは思います。人間の価値の指標として金があるって事はさほど重要でなくなってくる。ただ僕の生きている内は人の能力であったり資金力に価値性がある時代が続くような気がします。AIが人間の全ての仕事を代替してくれる時代は当分来ないだろうしね(どうせまた仕事が増える)。AGIが完成したら人間の仕事は幸せに生きる事になります。そうしたら人の価値は人の幸福度によって決まるとは思います。その時代は本当に遠い未来なんですけど。ただ今でも幸せそうな人ってモチベ高くて色々な人が集まって来るので、現在進行形でも幸せな人=価値が高いって言っていいかもしれないですね。

 今年はWell-beingが2割ぐらい占めていた一年だった気がします。なんか僕にとっては当たり前だと思っていた事が周りの人には共感が薄い事が多くて悩んでました。特にヨット部は僕と価値観の違う人ばかりだったので(それが嬉しくもあったんですけど)、それを受け入れつつも自分を主張する事の難しさに辛くなった時期もありました。ただ僕以外にもWell-being的考え方をする人達の多さに勇気づけられました。これを研究としてやってもいいんだよ、と励まされました。そして企業もその重要性に意識を向けている事も知りました。この視点を工学者でありながら持つ事は大いなる自信につながります。

余談その1

 そういえば仮想通貨はちょっとしぼんでしまいましたね。去年が凄かっただけに今年はハッキング以外にあんまし話題を集めませんでした。けどブロックチェーンの基幹技術は進歩が進んでいるのでこれから期待したいとは思います。非中央集権型の通貨は国家や国際組織の信用が弱くなった時に真価を発揮します。信用がなくなるイベントといえばパリのデモ(あれは不満のはけ口ですが)とかイギリスEU脱退とか随所に見られますね。ヨーロッパが仮想通貨の普及では先行しそうな気がします。次いでアメリカ、日本的な? でも中国のキャッシュレスの勢いはすごいから、そのままいくのかなぁ。けどキャッシュレス=仮想通貨ではないんだよね。まだ様子見ですかね。まずはBtoBで使われそう。2020までにBTC普及は無理な感じするよね正直。ってぐらいです。

余談その2

 Mリーグ開幕が結構嬉しいです。ボードゲームの中でも麻雀って下火なイメージが先行していましたが、こうやってプロリーグが開幕するという事は非常に大きな意味を持ちます、きっと。僕はボードゲームならそれなりにやってる人間なので、スマホゲームよりもボードゲームが流行って欲しいなー、と祈っています。

余談その3

 今年のスペクタルな経験を10個ほど書いてみる事に。

  • 江ノ島から大阪JR茨木駅までヒッチハイク
  • 全日本470 強風出艇からのリーチングハーバーバック
  • 台湾遠征 4番目のレース&ウミガメとの並走
  • AI学会 シロクマ美味しかった
  • 団体戦ラストレース5位フィニッシュ
  • TGS
  • 渋谷ファブラボWell-beingセッション
  • 長野 上高地奥穂高岳
  • 七帝戦 天橋立崖上り&フェリー一人乗り遅れ&ノーレース
  • 院試験合格

 上の方が先に出たので印象が強かったやつだと思います。なんやかんや全日本470が最高の思い出だったんだと思います。ヨット部素晴らしいですね。来年は青春18切符の旅と登山(槍かなやっぱり?)をやる予定です。ピアノは弾ける曲数を増やしたいですね。あと両手完璧に使えるようになりたいなぁ。あとネタですが小四喜をあがったことも結構記憶に残ってる(笑) 今年大三元あがってないわ、そういえば。あと小説投稿頑張ります。ネタはいっぱいあるので、形にします。そして学生の内に本出すという目標を達成します……したい。

そろそろ終わり

 僕の卒論テーマって実はモチベーションアップするテクノロジーなのかもしれないって最近思うようになってきました。無意識の内に動機付けをさせられたら、それはすなわちモチベーションアップって呼んでいいんじゃないか?って思ってます。来年はひとまず卒論主体で努力する予定。3月からは日本中旅する予定です。まだまだ世界が狭いという事をつくづく感じます。この気づきを常に得られたら、最高ですよね。

 

・おまけ

今年聞いた意識高い系ワード大賞

「最大公約数をどこで取るかって事なんだよね」

は?ってなりますよね、分かります。

 

・キーワード部門

可視化

単純な処方箋(はなくて~)

話の補助線

 

 

セーリングのコース理論(北風) その一

・南風(海風編)

安定したコンディションでのコース理論はこちら↓↓です.

 

 待ちに待ったセーリングコース理論陸風編をお送りします。とりあえず新西宮での勝利方法を書きますが、他の水域に応用する事もできると思います。何にせよレースごとに水域の傾向を見るのは当然なので、自分の知っている型に如何にして落とし込むのかが焦点になるという訳です。

Abstract

 まずH30卒松本氏の三角波での場合分けを思い出そう。基本的に陸に近い所でレースをする西宮では必ず陸ベン(ショアエフェクト)が起こる。この仕組みとパターンは全てウインドストラテジーに書いてあるので、ここぐらいちゃんと読んで欲しい。別に天気予報の気圧配置からブローの入り方が判るほど科学は進歩していないし(2018年12月現在)、六甲山脈の地形だとか西宮ハーバーの地形だとかは正直どうでも良い。そこに一般解を求めるよりもブローはランダムに発生し、統計処理を行った方が勝率が良いはず。

 前述通り、北風は南風のコースに比べて圧倒的にランダム性が高い。ブローが急に出てくる事もあるし、ブローのシフトにも法則性が見出せず死ぬ時がある。そもそもブローがちゃんと見えない時もある。こんなのどうするんだよ、ドラえもん

 再現性良く勝つ事が本ブログで目指す所であり、それはすなわちコースを科学的に捉えるという事だ。その為に必要なのが先行艇の状態だ。

・先行している艇のバウの向きは自艇と比べてどうか?

・先行している艇のクルーはトラピーズに出ているのか、デッキ内にいるのか?

 この2点をまず抑える。それはすなわちその風域の風速と風向を意味している。すると北風攻略でのポイントは実は1上よりも2上なのだ、という事がわかってくる。そろそろ本題に入ろうか。

 

1 ブローの使い方

 前記事「コース理論 南風*1」にて5度のリフトを走る事のメリットは述べた。そしてブローに入る事のメリットなど言わずもがな。基本的に見えるブローに入って、そのシフトに合わせてタックするかどうか判断する。では次のブローに向けてタックするとなった場合、ブローに入ってから何秒後にタックするのが最善なのか? 次のブローよりも今入っているブローの方が確実性が高いので、今のブローの恩恵を最大限受けてからタックするべきである。

下図を参照してほしい。

1.1 ブローの定義

 ブローというのは風圧が強い、いわゆる他の風域よりも風の密度が強い所である。要するに圧力が高いという事だ。この時エントロピーの法則から3次元的に球体の広がりをブローは見せる。実際は動いているので楕円形だが、今回は球とする。ヨットはz軸方向には動かないので2次元で考えるとブローは円と仮定する事ができる。

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図1:ブロー侵入時

1.2 ブロー侵入時の模式図

 半径rのブローに角度θ、速度vで侵入した様子である。ブロー自体は速度Vによって動いている。次にタックをした時を見て欲しい。

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図2:ブロー内タック時

 そして最後にブローから出る様子である。

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図3:ブロー脱出時

問題はmax:tを求めるという事である。

1.3 ブロー滞在時間を求める

 まずt秒後の艇の位置を求めよう。この時艇は剛体ではなく、質点と捉える。艇は45度で進行するので、そのy軸成分とx軸成分はv*cos(45deg)である。t秒後のブロー外周円上までの距離をdis_ydis_xとすると下図のように考えれば、

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図4:t秒後の位置関係

 上図を参考にすれば、数式1のように簡単に求まる。

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数式1:t秒後の外周との距離(y軸方向)

dis_xも同様に考えれば、

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数式2:t秒後の外周との距離(x軸方向)


 と求まる。ブローはy軸方向にしか動かないので、dis_xの方が若干式が簡単になる。タックを返した時はdis_xのルートの中の絶対値項のvt/{\sqrt{2}}のプラスマイナスが反転するだけだ。条件は今整った。

  • dis_x \leq 0
  • dis_y \leq 0
  • max:t

1.4 いつタックするとどれだけブローに滞在できるのか

 ここでは問題が複雑になるのを我慢して、いつタックすればよいのか、という問題を考えていこう。タックした時刻t_i、求めるtの最大値をt_{max}なのでdis_ydis_x=0は、

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数式3:タックする条件を含めたもの(y)

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数式4:タックする場合の条件を含めたもの(x)

 という風になる。dis_y=0dis_x=0となる時にブローから出るので、条件通り

  • dis_x \leq 0
  • dis_y \leq 0

 から曲線と範囲を図示すればよい。
 これをt{max}に関して代数的に解くことはかなり大変なので、ここから具体的数値を入れて曲線を書いていこう。

1.5 具体的に問題を解いてみる

1.5.1 真下から侵入時

例えばブローの大きさr=50[m]、ブローの移動速度V=8[m]、進入角度0、ヨットのスピードv=3[m/sとした場合、下図のようになるわけだ。

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図4:ブロー真下から侵入

 

具体的に数値を当てた数式は

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具体例(yの条件)

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具体例(xの条件)

t_{max}をyとして、t_{i}をxとした。

青色がyの条件、赤色がxの条件である。

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曲線1:8mコンディション、50mのブロー

黒の部分が両方の条件を満たす場所である。
するとブローに入ってから6秒ほどが丁度タックの頃合いという事が判る。

1.5.2 45度方向から侵入時

次にタックに入る角度が45度の時を考えよう。これは自分の先行艇がブローに入った時をイメージすればいいだろう。

 

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丁度前の艇がブローに入った時

 この時曲線は下図のようになる。関数は数式4にθ=45度とすれば導出可能である。

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曲線2:8mコンディション、50mのブロー(45度侵入)

これはt_{max} \leq t_{i}の部分が最善値なので、要するにブローを抜けるまでタックする必要はないという事だ(y<xじゃないと現実に起こりえないという事)。

1.5.3 上艇がブローに入っている時

最後に自分より風上にある艇が入った時を考える。

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風上側のブローに入る

この時曲線は、

 

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曲線1:8mコンディション、50mのブロー(-45度侵入)

黄色がy=xの直線なので、当然の如く即タックがいい。

まとめると6~8m/sコンディションでは、50mほどのブローに入る際、

  • ちゃんと真正面から受けたら6秒後にタックすると10秒間ブローに入る。
  • 先行艇に遅れて入ったケースだとタックせず直進
  • 後ろ上側が入ったら即タック

という事が判った。

風が強くなればこの秒数は全体的に短くなるし、弱くなれば大きくなる事は言うまでもなかろう。

真下からブローに入った時にいつタックすればよいのか、という事を表にまとめるので、少し待って頂きたい。

 

ここに表が出ます。

 

特に風が弱いコンディションならば次のブローが見えない場合はこの手法を採用するとかなり良いはずだ。実際弱いコンディションで度々タックをする上位艇は記憶にあるはずだ。彼らは直感的にそれを知っているのだと思う。

 

今日は疲れたのでここでいったん終わるが、次回はオーディナルスケールによる統計的勝利方法を紹介する。乞うご期待。

 

(色々おかしい所があるので、また直します。11月30日現在)

 

次回予告

 ヨットは帆走時間ではなく着順によって点数が付けられる。ゴールするまでの帆走時間をその人の実力とするならば、実力通りの点数差が出る事はほとんどない。自分がゴールした一分後に入ってきた一つ後ろの艇と自分と僅差でゴールした一つ後ろの艇との実力差は本当に同じ1点か? 答えはNOである。このように時間という基数ではなく、順番という序数のスケールで点数付けをするのがヨットなのだ。

 (そう設計したのは君だろう? 茅場)